数学

プログラミングの観点で学び直したい高校数学ベスト5

前回では、中学で学ぶ数学を振り返りました。同じ趣旨で、プログラミングに必要な高校数学について考察します。基礎的な学習内容である中学数学と比較すると、高校数学は学ぶ内容の多様性も大きくなり、プログラミングを楽しむにはぜひ知っておいたほうが良い内容があります。苦手意識があるかたが高校数学を学び直すきっかけになればと思います。

学習指導要領について

今回も国立教育政策研究所が一覧としてまとめている学習指導要領を参考にします。

参考にするバージョン

直近2回の高校の学習指導要領の改訂版は以下の時期に発表されました。

2017年に発表された学習指導要領は、2022年から施行されていますので、この記事を書いている時点では高校1年しか新課程に移行していません。中学の場合と同様に、ひとつ前の2008年に発表された学習指導要領を参考にします。

高校数学は何を習うのか

高校数学についての学習指導要領は、以下に掲載されています。

https://erid.nier.go.jp/files/COFS/h20h/chap2-4.htm

高校数学は、次の5科目からなります(数学応用という科目がありますが、一般的に履修されているとは言い難く、今回の考察の対象から外しました)。

  • 数学Ⅰ
  • 数学Ⅱ
  • 数学Ⅲ
  • 数学A
  • 数学B

中学数学と比較すると、高校数学は内容が多く、それぞれの科目の項目名のみを紹介します。また各科目が標準としている授業時数も記しました。

数学Ⅰ(50分×105回:3単位)

数と式

  • 数と集合(実数、集合)
  • 式(式の展開と因数分解、一次不等式、命題の証明)

図形と計量

  • 三角比(鋭角の三角比、鈍角の三角比、正弦定理・余弦定理)
  • 図形の軽量

二次関数

  • 二次関数とそのグラフ
  • 二次関数の値の変化(二次関数の最大・最小、二次方程式・二次不等式)

データの分析

  • データの散らばり
  • データの相関

数学Ⅱ(50分×140回:4単位)

いろいろな式

  • 式と証明(整式の乗法・除法,分数式の計算、等式と不等式の証明、二項定理)
  • 高次方程式(複素数と二次方程式、因数定理と高次方程式)

図形と方程式

  • 直線と円(点と直線、円の方程式)
  • 軌跡と領域

指数関数・対数関数

  • 指数関数(指数の拡張、指数関数とそのグラフ)
  • 対数関数(対数、対数関数とそのグラフ、常用対数)

三角関数

  • 角の拡張
  • 三角関数(三角関数とそのグラフ、三角関数の基本的な性質)
  • 三角関数の加法定理、三角関数の合成

微分・積分の考え

  • 微分の考え(微分係数と導関数、導関数の応用)
  • 積分の考え(不定積分と定積分、面積)

数学Ⅲ(50分×175回:5単位)

平面上の曲線と複素数平面

  • 平面上の曲線(直交座標による表示、媒介変数による表示、極座標による表示)
  • 複素数平面(複素数の図表示、ド・モアブルの定理)

極限

  • 数列とその極限(数列の極限、無限等比級数の和)
  • 関数とその極限(分数関数と無理関数、合成関数と逆関数、関数値の極限、関数の連続性)

微分法

  • 導関数(関数の和・差・積・商の導関数、合成関数の導関数、三角関数・指数関数・対数関数の導関数)
  • 導関数の応用

積分法

  • 不定積分と定積分(積分とその基本的な性質、置換積分法・部分積分法、いろいろな関数の積)
  • 積分の応用

数学A(50分×70回:2単位)内容は選択可能

場合の数と確率

  • 場合の数(数え上げの原則、順列・組合せ)
  • 確率(確率とその基本的な法則、独立な試行と確率、条件付き確率)

整数の性質

  • 約数と倍数
  • ユークリッドの互除法
  • 整数の性質の活用

図形の性質

  • 平面図形(三角形の性質、円の性質、作図)
  • 空間図形

数学B(50分×70回:2単位)内容は選択可能

確率分布と統計的な推測

  • 確率分布(確率変数と確率分布、二項分布)
  • 正規分布
  • 統計的な推測(母集団と標本、統計的な推測の考え)

数列

  • 数列とその和(等差数列と等比数列、いろいろな数列)
  • 漸化式と数学的帰納法(漸化式と数列、数学的帰納法)

ベクトル

  • 平面上のベクトル(ベクトルとその演算、ベクトルの内積)
  • 空間座標とベクトル

プログラミングの観点で学びたい高校数学ベスト5

プログラミングを楽しみたいかたが、学び直したほうがよい高校数学の内容をランキング方式で5つ紹介します。

第5位 いろいろな式(数学Ⅱ)

「数と式」(数学Ⅰ)の内容は、中学数学で学ぶ内容と重複しています。プログラムの記述は、式を扱う側面もあるため、中学数学の上位の知識として、この「いろいろな式」で取り扱うことを学ぶと良いことが多いと考えています。

第4位 指数関数・対数関数(数学Ⅱ)

計算量を評価する場合に指数関数、対数関数は頻繁に登場します。多項式関数と比較して非常に速く増えていく指数関数と、ゆっくり増えていく対数関数についての感覚が理解できると、計算量が多い場合に効率が良いプログラムを作ることができるかもしれません。

第3位 数列(数学B)

「数列」で学ぶ内容は、アルゴリズム的な側面があります。例えば、数列をひとつひとつ加えていくのではなく、公式を使えば、少ない計算量で和が求まります。漸化式的な考え方は、いろいろなアルゴリズムで見た目を変えて登場します。

第2位 場合の数と確率(数学A)

特に前半で学ぶ「場合の数」は、コンピュータで解くパズルとして楽しめる側面があります。また、コンピュータで計算する場合でも、簡単な場合を手で計算して傾向(構造)を把握することは有効な場合が多くあります。

第1位 整数の性質(数学A)

第1位と第2位がどちらも数学 A からの選出となりました。数学 A は数学Ⅰのあとで学ぶか、数学Ⅰと並行で学ぶことが多いようです。プログラミングに興味がある高校生がいろいろ試せる題材が「整数の性質」には多くあります。また社会人がコンピュータを補助的に使って、数学を学ぶ場合でも、「整数の性質」は間口が広い話題があり、楽しめるのではないでしょうか。

番外 確率分布と統計的な推測(数学B)

中学数学の記事でも述べましたが、統計的な内容は受験にでる頻度の関係から、軽視される傾向があります。ただし、統計はコンピュータとの相性がよく、これからの社会での重要度は高くなっていくと考えています。
統計では、専用のソフトを使うことが多く、個別でのプログラミングをする頻度が多くはないことから番外としました。

最後に

プログラミングを楽しむ、という面で高校数学の内容を紹介しました。

この記事で紹介されなかった内容は、重要ではないという意味ではありません。例えば、数学Ⅲで学ぶ内容はランキングには入りませんでしたが、理系大学の入試(二次試験)の合否は、数学Ⅲの出来に強く依存します。また、物理的な現象は微分方程式で表現できる場合が多く、根本的な物理現象の理解には、微積分の理解が不可欠となります。

一方、数学に苦手意識がある方は、ピンポイントで「整数の性質」や「場合の数」を学んでプログラミングを楽しむことができるのも事実だと考えています。事実、Project Euler の最初の10問を解く場合でも、ランキング第3位までの内容を習得できれば、解ける問題となっていました。

それぞれの個人の状況で、プログラミングを楽しんでいただけたらと願っています。

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