Aizu Online Judge(AOJ)が提供している「プログラミング応用」(ITP2)の8_D問題をC++で解いてみました。
ITP2では、「プログラミングのための基礎ライブラリを獲得します」とあります。トピック#8では、辞書(map コンテナ)を学びます。
問題(8_D: Multi-Map)
問題はリンク先をご覧ください。
Mulitmap コンテナについて学びます。
Multimap コンテナについて
以下は、cpprefjp 様の記事を参考にさせていただきました。
概略
Multimap コンテナは、いわゆる連想配列を提供します。
- コンテナの要素は、キーとその値の pair 型になる。
- 内部の要素は、小さいものから大きなものへとソートされる。
- キーに対応する値は、重複を許す。
主なメソッド
よく使われるメソッドを紹介します。
名前 | 説明 |
insert | 要素を挿入する。 |
erase | 要素を削除する。 |
size | 要素数を返す。 |
empty | コンテナが空なら true を、そうでなければ false を返す。 |
clear | すべての要素を削除する。 |
find | 指定したキーで要素を探す |
count | 指定したキーにマッチする要素の数を返す。 |
equal_range | 指定したキーにマッチする要素範囲を返す。 |
lower_bound | 与えられた値より小さくない最初の要素へのイテレータを返す。 |
upper_bound | 特定の値よりも大きい最初の要素へのイテレータを返す。 |
Multimapコンテナは、二分木を使って実装されるため、insert はコンテナのサイズの対数時間(log)で、erase は定数時間で処理できます。ただし、map と異なり [] を使ったアクセスができません。
Map コンテナと同じく、二分探索で値を探索できる lower_bound(または upper_bound)も使うことができます。
C++ プログラム例(ITP2 8_D)
問題で与えられるクエリに従い、キーを文字列とする辞書 M に対して、以下の操作を行います。Multiset は、[] によるアクセスができないため、8_C と比較して宣言以外の行も変更されています。
- クエリ0 キーが key で値が x である要素をコンテナ M に挿入する。キーが key である要素がすでに存在している場合は、要素の値を x に更新する。
- クエリ1 キーが key である値をすべて出力する。
- クエリ2 キーが key であるすべての要素をコンテナ M から削除する。
- クエリ3 キーが辞書式順で L 以上、R 以下のキーと値の組順番に出力する。
Multimap コンテナで提供されているメソッドを、クエリに従い呼び出します。一部の型宣言は、長くなりすぎるため、auto を使いました(25、37、38行目)。
#include <iostream>
#include <map>
using namespace std;
int main()
{
multimap<string, int> M;
int q;
cin >> q;
for (int i = 0; i < q; ++i) {
int command;
cin >> command;
if (command == 0) {
string key;
int x;
cin >> key >> x;
M.insert(make_pair(key, x));
} else if (command == 1) {
string key;
cin >> key;
if (M.count(key) > 0) {
auto p = M.equal_range(key);
for (auto it = p.first; it != p.second; ++it) {
cout << it->second << endl;
}
}
} else if (command == 2) {
string key;
cin >> key;
M.erase(key);
} else if (command == 3) {
string L, R;
cin >> L >> R;
auto it = M.lower_bound(L);
auto last = M.upper_bound(R);
while (it != last) {
cout << it->first << " " << it->second << endl;
++it;
}
}
}
return 0;
}
上記プログラムは、AOJ で「AC(Accepted=正解)」と判定されました。
最後に
Multimap は、正直な印象では map ほど使われていません。やはり [] を使ったアクセスができないことは不便に感じます。
引き続き、ITP2 の問題を紹介していきます。